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人生を360度変えた買い物

それどこ大賞「買い物」
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今月のテーマは買い物。

 

自分の人生を振り返ってみた。贅沢志向ではないから車も実用的だし、家も普通の家を普通にローンを払っている。

1万円以上の買い物は何か緊張するし殆ど手を出さない。安物買いの銭失いタイプだ。

なわけで、学生時代から中古屋さんが好きだ。先週はなかったのに今週はこんな掘り出し物がある。売った人買う人の偶然の出会いがある。そんなのが好きだ。

 

時は中学3年。90年代中盤。

私はブログの題材である漫画、特に少年ジャンプを愛読して育ったので、努力、友情、勝利を地で行く少年だった。

(最近、Dr.マシリトこと鳥嶋元編集長がインタビューで努力、友情、勝利を否定していたのは悲しかったが、当時も今も私にとっては大事なタスクの一つだ。)

 

飽きっぽい性分なので継続は難しいが、その時その時の最善の努力をして友情を最も大事にした。

実家の部屋には兄貴が担任の先生に書いてもらった「人にやさしく自分に厳しく」が貼ってあり正にその通りだと思っていた。

ただ何も目指してはいなかったし、漠然とガムシャラに生きていた。友達は沢山いたが、嫌われたくない一心で自分の意見もあまり言えない小心者であった。というか、自分の意見も特に持たない愛想笑いの人間だった。

とにかく自分に自信がなかった。不良の同級生達を理解する事は出来なかったが、自分を持って自分を表現し、自分をコントロールしているのは羨ましかった。

 

中学当時、親友が1人居た。向こうも親友と思ってくれてたと思うが、相手がどうこうではなく、私はその親友に憧れを持っていた。

年賀状にわざと差出人不明で送ってくるセンス(今考えると意味分からんが)、ユーモア、喋り全て劣等感があった。

劣等感を持つとさらに自信がなくなり、空っぽになっていく。負のスパイラルに陥る。

 

そんな時に私にとって人生を変えたものと出会った。

部活を引退した後だったか、休日にいつもの様に自転車で市街へ向かった。

田舎町なので街へ出ても特に刺激的なものはない。いつもお決まりパターンで、少し大きい商業施設へ行き、ブラブラしてゲーセンに行って、CDショップへ行って新譜と中古をチェックする。

 

バブルが弾けた後だが、今よりは世間も賑やかで活気がありそして朗らかであった。

そして何より音楽シーンは振り返れば日本史上最も盛り上がっていた時代にそれは中古の棚にあった。

 

THE BLUE HEARTS

SUPER BEST

(1995年10月発売)

1.リンダリンダ

2.人にやさしく

3.シャララ

4.ロクデナシ

5.ラブレター

6.平成のブルース

7.キスしてほしい

8.ハンマー

9.チェインギャング

10.TRAIN-TRAIN

11.ラインを越えて

12.僕はここに立っているよ

13.英雄にあこがれて

14.青空

15.終わらない歌

16.ブルーハーツより愛を込めて

17.1985

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ブルーハーツは初期の3アルバムがメルダック社で後期の5アルバムがイーストウエスト・ジャパン社からの発売。

スーパーベストは初期のベストアルバムだった。

価格は1980円だったか...中学生の私には高価であったが、思い切って買った!

 

家に帰って早速聴いた。

 

1曲目から衝撃だった!

 

「.......ドーブネーズミ  みたいに」

 

沈黙からいきなり歌い出した!

ドブネズミ?

 

「愛じゃなくても恋じゃなくても  君を離しはしない    決して負けない強い力を僕は一つだけ持つ」

 

決して負けない強い力を一つだけ持つ?

強い力って何だ?

 

 

2曲目

「気ーがーくーるいそう  優しい歌が好きで」

「人にやさしく  してもらえないんだね  僕が言ってやる  ガンバレって言ってやる  聞こえるか  ガンバレ!」

 

人にやさしくしろって言うんじゃなくて、人にやさしくされない人の歌?

 

 

涙が出ました。

全ての曲が自分に歌っているようでした。そして、全ての曲が名曲でした。

 

 

翌日、CDを持って親友にブルーハーツの事を話すと、親友は

「俺もこれを渡そうと思ってたんだよね」

ブルーハーツの後期の曲が入ったカセットテープでした。

 

奇跡でした。自分より遥かに先を行っていた親友と同時期にブルーハーツにハマる事が出来た。

 

親友からカセットを借りて聞いても多分ハマっていただろう。でも劣等感は一生消えなかっただろう。

 

誰の手も借りずに勧められもせず、ブルーハーツに辿り着く事が出来た。(今考えると意味分からんけど)

決して負けない強い力を持つ事が出来た。

そんな気がした。

 

甲本ヒロトは後に語る。

「ロックは初期衝動だ」

正にその通りだ。自分が一番分かる。

 

ザ  ブルーハーツの最期のアルバム「PAN」の「歩く花」より

「ガードレールを飛び越えて

センターラインを渡る風

その時  その瞬間

僕はひとりで決めたんだ」

 

そうなんだ。

僕は1人で自分で決めたんだ。僕の意思でCDを買って、自分で感動したんだ。

 

今まで受動的だった自分が初めて能動的になれた。

あの時、CDを買わなければこうはならなかった。

本当にこう思った。

 

決して負けない強い力を僕は持っている!

 

今までの空っぽの自分が満たされていった。

自分は何も変わらない、でも360度生まれ変わった。

 

そんな買い物の話。